2023.06.08
チェーンブロックとは?用途や種類・使い方・資格の有無やおすすめメーカー・製品までまとめて解説!
チェーンブロックを簡単に説明すると、昔ながらの古い井戸の上にある滑車とロープを使用してバケツで水をくみ取る装置とほぼ同じです。井戸では水をくみ取る用途で使用しますが、チェーンブロックは井戸で水をくみ取る原理で何百kgものさまざまな重量物を昇降させることができます。
今回はチェーンブロックとは?種類と用途からチェーンブロックを扱うのに資格が必要なのか?チェーンブロックの選び方、おすすめメーカーと機種についてまとめて詳しく解説していきます!
目次
チェーンブロックとは、滑車とテコの原理を利用して、鎖で重たいものを上げたり下げたりできる道具のことです。
作業現場の天井や三脚などにチェーンブロックを取り付けて使用することで、重量物をつり上げることができるようになっていて、つり上げた状態で移動することも可能です。また、つり上げる以外に埋設しているコンクリート基礎や樹木の根を引き抜くことができます。
チェーンブロックは主に工事現場で使用されるイメージがありますが、実は各種イベントの仮設ステージや劇場などで、照明などのセッティッグに使用されたり、水族館でイルカやシャチなどを移動するときに使用されるなど、エンターテイメントの場でも使用されています。
チェーンブロックには3つ種類があって、それぞれの種類ごとに用途が異なります。
手動式チェーンブロックは、「操作用ハンドチェーン」と呼ばれる滑車からぶらさがっていて、チェーンを手動でたぐり寄せることで巻き上げて作業を行います。
重量物の重さによっては、10t以上もの重量物にも対応した機種もありますが、おおむね100kg以下の荷物用として使用されることが多く、コンパクトで持ち運びに便利なものが多いです。
先ほどの手動式チェーンブロックは人の手でチェーンをたぐり寄せて使用していましたが、電動式チェーンブロックは手の代わりに電動モーターで作業を行います。
リモコンで操作を行うので、自由に重量物の昇降が可能です。しかしデメリットとして、手動式チェーンブロックよりも軽いもののみに対応しています。
製品数は多くありませんが、手動ではないチェーンブロックのなかにはエアーチェーンブロック(エアーホイスト)というものがあります。
エアーチェーンブロックは、圧縮した空気の力で作業できるのでスピーディーな巻き上げが可能です。電気を使用しないので、化学工場や火気厳禁の場所で使用できて、モーターの焼損がないので耐久性が高いというメリットがあります。
先に結論を言うと、チェーンブロックで作業を行うのに資格は不要とされています。
なぜならチェーンブロックはクレーンではないので、玉掛け技能講習などの受講が不要だからです。しかしチェーンブロックで作業を行う際は、玉掛けの知識があればより安全に作業ができるので、可能であれば事前に玉掛け特別教育や技能講習を受講しておくといいでしょう。
吊り上げ荷重が1t未満の場合は、「玉掛け特別教育」が必要で、1t以上の場合は「玉掛け技能講習」が必要となります。両方とも18歳以上の方なら誰でも受講することができて、あらかじめ講習を受講しておくことで就職や転職にも有利に働きます。
チェーンブロックの操作だけではなく、ユニック車や移動式クレーン、床上操作式クレーンなど、幅広い現場で活躍することができるようになります。
最後に玉掛け作業者と呼ばれる1t以上の陽荷装置やクレーンなどを操作できる資格は国家資格なので、給与に反映されるという大きなメリットがあります。
玉掛け技能講習については、制限荷重が1t以上の陽貨装置や、吊り上げ荷重が1t以上のクレーン、移動式クレーンやデリックの玉掛け補助作業を6か月以上経験した方は、講習を開く団体に証明を提出することで、「クレーン等の玉掛け」の学科講習の時間を1時間、「クレーン等の玉掛け」の実技講習の時間を2時間減らすことが可能です。
そのため経験者の方は、通常合計19時間の講習のところ16時間の内容で受講することができます。また、玉掛け特別教育を修了していて、制限荷重が1t未満の陽貨装置の玉掛け業務に6か月以上従事した経験がある方は、講習を開く団体に証明を提出することで、補助作業経験者と同じ内容で受講することができます。
補助作業経験者向けの講習は合計15時間の内容で技能講習が実施されるので、フルで受講しなくて済むのはありがたいです。
これら講習を受けるためには、クレーン学校や技能講習所などで受けることが可能です。費用も20,000円前後で講習を受けることができて、合格すれば国家資格を取得することができます。
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冒頭でお話ししたように、チェーンブロックは3つの種類があって、後述するようにさまざまなメーカーから販売されています。
そのため、「どのチェーンブロックを選べば良いの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?ここからははじめてチェーンブロックを選ぶ方のために、わかりやすくチェーンブロックの選び方を解説していきます。
チェーンブロックは大きく分けて電動式と手動式の2種類があります。ここでは機種が少ないエアー式は除外して、電動式と手動式の2つに焦点を絞って選び方を解説していきます。
手動式は比較的軽量でコンパクトな機種が多いので、持ち運びや移動が簡単というメリットがあります。そのため、頻繁に現場が変わる場合や、状況の変化に対応する必要がある屋外作業時に向いているチェーンブロックということになります。
電動式は、操作が簡単で作業も楽に行えるというメリットがありますが、手動式よりも製品そのものの重量が重く、手動式で扱えるものよりも軽いものしか昇降できないというデメリットがあります。電動式は、各種トロリーに接続して使用する場合などで日々決まった作業を行い、電源が確保できる場所で作業を行う場合に向いています。
チェーンブロックは手動式と電動式の2種類に分けることができますが、手動と電動の両方で「懸垂式」と「トロリー式」に分けることができます。
懸垂式のチェーンブロックとは、滑車とチェーンで構成される本体のみのことで、懸垂式に各種トロリーを接続してトロリー式のチェーンブロックにします。
トロリーは、「プレーントロリー式」「ギヤードトロリー式」「電気トロリー式」の3種類に分けられます。
プレーントロリー式 | 横行用のトロリーのこと。手で押して横移動させることができる。 |
ギヤードトロリー式 | 手鎖を引くことで横移動ができる。 |
電気トロリー式 | モーターの力で車輪を回転させて横移動ができる。 |
チェーンブロックとトロリーを選ぶときは、用途や作業場所に合ったものを選ぶようにしましょう。
チェーンブロックを選ぶ時に重要になってくるポイントが、「どのくらいの重さをつり上げることができるのか」ということです。
つり上げたい重量物の荷重が、チェーンブロックの定格荷重内に収まっているか必ず確認しましょう。もし定格荷重を超える重量物を吊り上げた場合は、故障や破損から事故に繫がる恐れがあるので大変危険です。
揚程(ようてい)とは、最上限まで巻き上げたときのフックの位置から、最下限まで下げたときのフックの位置のことで、吊り上げられる高さのことです。
短いもので揚程1.8m、長くて15m程度の揚程があります。主流になっているのが3mのチェーンブロックですが、その次に6m、4m、2.5mの順に需要があります。
フック間の最小距離とは、チェーンブロックの上にあるフックから、最上限まで巻き上げたときの下のフックまでの距離のことです。
工場の天井などから、チェーンブロックを吊り下げる場合は特に意識する必要はありませんが、門型クレーンや三脚でチェーンブロックを使用する場合は、フック間の最小距離が長いと揚程を圧迫してしまいます。
例えば、高さ2mの門型クレーンに、1.5m揚程チェーンブロックを取り付けた場合は、フック間最小距離400mmのチェーンブロックでは、1.5mの吊り上げができますが、フック間最小距離700mmのチェーンブロックでは1.5mの吊り上げができません。
このように、フック間の最小距離を間違えてしまうとそもそも作業できないということになってしまうので、門型クレーンや三脚を使用してチェーンブロックを使用するときは必ず確認しましょう。
付加機能 | 詳細 |
JIS規格品 | 日本産業企画(JIS)に対応している製品。 日本の産業製品に関する企画や測定法などが定められた国家規格を満たしているということ。 |
過負荷防止 | 過剰な負荷がかかったときに、故障を防ぐための安全機構を搭載している。 |
過巻防止 | 過剰な巻出しや巻き上げを防いで本体の損傷を防ぐことができる。 |
非常停止ボタン | 緊急時に作業を即時停止できるボタンが付いている。 |
インバーター | なめらかな動作が可能。 |
防塵防滴 | 雨やほこりから稼働部を守る。 |
過負荷時高速巻き上げ | 何もつっていないときに、より早い速度で巻き上げる。 |
ステンレスロードチェーン | サビないステンレス製のチェーンを採用していれば、クリーンルームや食品工場など衛生管理が厳しい現場でも作業できる。 |
チェーンブロックはさまざまなメーカーから販売されていますが、機種ごとに上記の表のように付加機能が付属しています。
作業現場の状況に応じて、このような付加機能からチェーンブロックを選ぶことができます。
チェーンブロックは主に7社のメーカーから製造・販売されています。
それぞれのメーカーや機種ごとに特徴や性能が異なるので、ここからは4社のおすすめチェーンブロックメーカーの特徴と性能、機種をご紹介いたします。
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キトーのチェーンブロックのなかでも、小型・軽量ものではCX003がおすすめです。
定格荷重 | 250kg |
標準揚程 | 5m |
フック間最小距離 | 217mm |
付加機能 | 過負荷防止 |
本体重量わずか2.4kgと軽量でコンパクトなボディなので、現場がよく変わる、屋外作業が多いという方に便利なチェーンブロックです。
キトーは、チェーンブロックをはじめホイスト、クレーン、荷物固定用レバーブロックなどを幅広く製造・販売しているメーカーです。
国内シェア率約60%を占めており、アメリカやヨーロッパを中心に知名度の高いメーカーで、持ち上げる物の定格荷重や巻き上げ方式、つり上げ方式などニーズに応じて、仕様が異なる幅広い機種を製造・販売しています。
キトーのチェーンブロックは各種部品の内製化率が高く、厳しい安全基準をクリアした社内部品を採用していることで、高い安全性と耐久性を実現しているのが特徴です。
数年間使用してもチェーンの劣化が少なく、消耗品を定期的に交換しておくことで故障頻度が低い状態を維持することができるので、安全性を高めて、ランニングコストを抑えることが可能です。
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象印チェーンブロック、BSK12A0は電動式チェーンブロックで、重くなりがちな本体重量をわずか7.2〜10.3kgに抑えた軽量モデルです。
定格果樹 | 125kg/200kg |
標準揚程 | 0m/6.0m/10m |
フック間最小距離 | 280mm |
速度切替 | 1速 |
電源 | 単相100V |
付加機能 | JIS規格品・過巻防止・過負荷防止 |
持ち運びしやすいので、高所作業での持ち運びや取り付けにも重宝する他に、過負荷防止や過巻防止機能、横ずれ防止タイプの外れ止めを採用しているので、安全性も高くなっています。また、V級表面硬化チェーンを採用しているので、耐久性に優れたチェーンブロックです。
象印チェンブロックは魔法瓶の象印と混同されることが多いですが、全く違う会社です。象印チェンブロックは大阪府に本社を構える機械メーカーで、チェーンブロックやクレーン関連の製品を専門に手がけています。
国内で高いシェア率を誇り、手動式や電動式のチェーンブロックなどさまざまなタイプのものを取り扱っていることで、高く安定した評価を得ています。
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オーニッチのOCH-05は、操作性に優れた使いやすい手動式チェーンブロックで、コンパクト設計なのが特徴です。
定格荷重 | 500kg |
標準揚程 | 5m |
フック間最小距離 | 285mm |
主軸部分にニードルベアリングを採用しているので、荷揚げ効率を向上させることが可能になっており、衝撃に強い頑丈な本体フレームを仕様しているので、耐久性も高くなっています。
オーニッチ工業株式会社は、ベルトスリングやワイヤースリング、荷締機を主に手がける作業工具や物流機器メーカーで、チェーンブロックも製造・販売しています。
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スリーエッチのR-CB0.25TONは、コストパフォーマンスに優れたチェーンブロックです。
定格荷重 | 250kg |
標準揚程 | 5m |
フック間最小距離 | 260mm |
主軸部分にニードルベアリングを採用しているので、小さな労力で荷揚げが可能になっており、強力なロードチェーンで安心して作業することができます。
株式会社スリーエッチは、ベルト綴金具や建設用機器・器具の製造や販売を行うメーカーです。
ここまでご紹介したおすすめチェーンブロックメーカー4社は、国内主力のメーカーですが、その他にも「マキタ」「バイタル」「藤原産業(E-Value)」の3社でもチェーンブロックを製造・販売しています。
さまざまなメーカーからチェーンブロックが製造・販売されているので、性能や付加機能などを比較しながら、作業現場・用途に応じてぴったりなチェーンブロックを選んでみましょう。
チェーンブロックは、滑車とテコの原理を利用して重量物の昇降を行う器具のことです。昔ながらの井戸の上にある、滑車とロープにつながれたバケツをイメージするとわかりやすいです。
チェーンブロックで作業を行うのには資格は不要ですが、玉掛けの特別講習や技能講習を受講しておくことで、より安全に作業することができるようになります。
チェーンブロックを選ぶときは、「電動式・手動式」「懸垂式・トロリー式」「定格荷重」「標準揚程」「フック間最小距離」「付加機能」の6つポイントを意識して選ぶようにしましょう。
チェーンブロックはこの記事でご紹介した7社から製造・販売されているので、ご紹介した選び方のポイントを意識しながら、ぴったりのチェーンブロックを探してみましょう。
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