2023.08.31
グラインダーを丸ノコ化できる?4つのリスクと便利アイテムを解説!
職人のなかには、「ディスクグラインダーを丸ノコ化できれば便利なのになぁ〜」と感じたことがあると思います。
ディスクグラインダーには対応する軸経の砥石を装着して作業するので、対応する軸経のチップソーを装着すれば丸ノコ化できそうです。
しかし、ディスクグラインダーを丸ノコ化するのは大変危険です!
今回は、「ディスクグラインダーを丸ノコ化したい」と感じている方へ役立つ以下のことがわかる内容となっています。
・ディスクグラインダーと丸ノコの用途・作業・使い分けの違い
・ ディスクグラインダーを丸ノコ化する4つのリスク
・ ディスクグラインダーを丸ノコ化すると重大事故が起こりやすくなる理由と事例
・ ディスクグラインダーを丸ノコ化するのは可能?便利なアイテム
・ アイテムを組み合わせてディスクグラインダーを丸ノコ化する方法
ディスクグラインダーを丸ノコ化したい!」と感じている方に役立つ情報が詰まっていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
目次
ディスクグラインダー | 丸ノコ | |
用途 | ・研磨・研削 ・砥石を変更することで切断も可能 |
・チップソーで素早くキレイに直線カット |
得意な作業 | ・金属の研磨や研削作業が得意 ・砥石を変更することで、少しだけ切断作業もできますが、長物の切断は苦手・削りながら切断するので、バリが出やすい |
・長物の金属切断が得意ですが、チップソーを変更すれば木材も切断可能 ・切断専用の刃を使用して真っ直ぐ切断するので、バリが出にくく仕上がりがキレイ・キックバック現象に要注意 |
使い分け | ・金属の研磨 ・研削・塗装剥がし |
・バリの発生を抑えた切断 ・火花の飛び散りを減らして切断・切断を小さくする |
切断用の電動工具として、ディスクグラインダーと丸ノコがありますが、これらは全く違う電動工具です。
最近電動工具に触れるようになった方は、ディスクグラインダーや丸ノコの違いがわからないという方も多いと思いますが、大きな違いは上記の通りです。
ディスクグラインダーは砥石を装着し、高速回転させながら研磨や研削を行う電動工具です。砥石を切断用にすることで切断作業も可能です。
ディスクグラインダーの砥石は、他の切断用工具と比べて小さい規格になっており、本体サイズも一般的にはコンパクトです。
一方、丸ノコは円盤状のノコ刃を回転させて対象物を切断する電動工具です。チップソーを変えることで木材から金属まで切断でき、直線的な切断が得意です。
そのため円盤状や波形のようなデザイン性豊かな切断作業は得意ではなく、長い物体よりも板材の切断に向いています。
ちなみに、円盤状や波形のようなデザイン性豊かな切断作業をしたい場合は、「ジグソー」と呼ばれる工具を使用します。
このように、ディスクグラインダーと丸ノコは用途や得意な作業が全く異なる電動工具です。
ディスクグラインダーは砥石を切断用のものにすることで、削りながらちょっとした切断作業ができるので、丸ノコで使用するチップソーを装着すれば1台で2役担うことができるのでは?と思った方が多いのではないでしょうか。
先に結論を述べると、ディスクグラインダーに丸ノコ用のチップソーを取り付けて作業することは絶対に厳禁です。
非常に危険で、毎年多くの死傷事故が発生しています。
ここからは、ディスクグラインダーを丸ノコ化する4つのリスクを説明していきます。
ディスクグラインダーは研磨・研削作業ができるように、回転数が高く設計されています。
平均でディスクグラインダーの回転数は約10,000min-1前後です。一方で丸ノコに装着するチップソーは約6,000min-1前後で回転することを想定して作られています。
ディスクグラインダーの中には、4,000〜10,000min-1というように無段階調節可能なモデルも存在しますが、そもそもチップソーは丸ノコ用なので「用途外」となります。
用途外の使い方をしてしまうと、材料を切断する際にチップソーの回転速度の上限を超えた状態で材料に衝突することになります。
すると、刃先に接合している超硬チップが割れたり、剥離・飛散したりして、作業者や周囲の人に大きな被害をもたらすリスクがあるため、非常に危険です。
グラインダーはコンパクトなボディの電動工具ですが、基本的に両手で持って作業を行うのが基本姿勢です。
切断砥石を使用してディスクグラインダーで切断作業を行う際は、必ず切断面と体が重なるような姿勢になりますが、この姿勢はキックバック現象が発生した時の被害が大きくなりやすい姿勢です。
グラインダーを丸ノコ化して作業した際にキックバック現象が発生すると、反発してチップソーが作業者にそのまま跳ね返ってきてしまいます。
こうなると避けることもできず、真っ正面からチップソーと衝突してしまうことになります。
ディスクグラインダーは丸ノコよりもモーター出力が高いモデルも多く、ディスクの直径が小さいこともあって反発力が大きくなるため、大きな事故に繋がってしまいます。
丸ノコには「ベース」と呼ばれる切断時に工具を置く板がありますが、ディスクグラインダーにはありません。
ベースがないと切断作業の際はチップソーが当たる位置によって反発力の方向が変化するため、保つためには力を加える位置が常に変わることになります。
これは、切断の進み具合やわずかな振動でも押さえつける力の方向が変わるという意味です。
特に木材を切断している時はチップソーが走りやすいので、反発力によって切断中のチップソーが木材に乗り上げてしまうこともあります。
丸ノコにはベースが木材を抑えてくれるため切断が安定しますが、グラインダーにはベースがないので、浅く木材を切断してチップソーが走ると、工具が吹き飛ぶ。または材料がそのまま作業者に直撃します。
このようなことになると、作業者は振り回されるだけでなく、周囲の人にも被害を与えるリスクがあります。
また、ディスクグラインダーにはカバーがありますが、これは研削作業用の最低限のものです。
そのためチップソーを使用した切断作業を想定したものではないため、重大な事故につながってしまいます。
ディスクグラインダーはレバースイッチ、あるいはスライドスイッチのモデルが多いので、スイッチを手動で切らない限り、作業者の手を離れても作業を続けます。
ディスクグラインダーを丸ノコ化して、何らかの不手際で手放してしまうと、作業者だけではなく周囲の人にも被害を与えてしまうリスクがあります。
ディスクグラインダーは、電動工具の中でも危険な工具であり、その中にチップソーという危険な装置を取り付けて使用してしまうと、重大な事故が発生する可能性が高いことが予測されます。
ついディスクグラインダーを丸ノコのように使用してしまうのには、ディスクグラインダーの機動性や、軽微な切断ニーズへの対応といった背景があります。
しかし、チップソーは丸ノコに取り付けて使用するためのものであり、ディスクグラインダーに取り付けて丸ノコのように使用することはできません。
ここからは、ディスクグラインダーを丸ノコのように改造した事例に基づく実際の事故例をご紹介いたします。
ディスクグラインダーを丸ノコ化したことで法規制があるわけではありませんが、安全衛生法に抵触する可能性があります。
実際に2021年9月に神奈川県の建設会社で発生した事例では、ディスクグラインダーを丸ノコ化し、木造建築物の改修工事現場で作業員が砥石を外し、チップソーを取り付けて木材を切断していたところ、誤って自身の右太腿動脈を切断するという事故が発生しました。
この事故により、作業者が失血による死亡事故が発生しました。
その後、建設会社の代表が労働者に対しディスクグラインダーを丸ノコ化させ、重大な事故を引き起こしたとして、書類送検されています。
岐阜県内で平成27年度に、型枠組み立て作業中に縦桟木の余剰部分を切断する際、作業者がディスクグラインダーにチップソーを取り付けて切断しましたが、グラインダーがキックバックにより跳ね返りました。
この事故によって作業者は左前腕部と跳ね返ったチップソーが接触し、1週間の治療を要するケガを負いました。
平成22年3月に、トンネルの吹き抜けプラントの建方(外装板の設置)を4人で作業中に、1人で外装板の水切りパネルの加工を行っていた作業者が、丸ノコ化したディスクグラインダーで左正中神経、尺骨神経、尺骨神経動脈、第2〜5指浅深屈筋腱断裂のケガを負いました。
作業者は溝型鋼の上に約40cmのパネルを左手で押さえて、そのパネルの一部を丸ノコ化したディスクグラインダーで切断しようとしていたそうです。
また、ディスクグラインダーを丸ノコ化していたことの他に、グラインダーに軍手が巻き込まれたことも事故の一因になっています。
このようにディスクグラインダーを丸ノコ化することは大変危険ですので、各自治体や国でも警鐘を鳴らしており、電動工具メーカーでも安全対策の対応に追われている状況です。
もしこのままディスクグラインダーを丸ノコ化したことによる事故が多発すれば、パドルスイッチの必須化、X-LOOKグラインダーの義務化など、高い安全性のグラインダーしか使用が認められなくなったり、資格の取得が必要になったりする可能性もあります。
実際に事故が起こる前は「自分は大丈夫」「だって作業で必要だから」と思ってしまいますが、ディスクグラインダーを丸ノコ化することは大変危険ですので、しないようにしましょう。
【参照】:
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ディスクグラインダーを丸ノコ化させることはできませんが、比較的近いイメージで使用することは実は可能です。
ここからは、ディスクグラインダーを安全に丸ノコ化させることができる2つのアイテムをご紹介いたします。
山真製鋸 オールマイティーGO!! プロテクトX
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山真製鋸は、静岡県に本社を構える会社で、総合ワークツールを製造・販売しています。
山真製鋸が販売する「プロテクトX」は、チップソーカッタに近い全面カバーと可動カバーを搭載した 100 mm ディスクグラインダーに装着するチップソーです。
労働安全衛生規制に準拠できるアイテムで、このカバーをディスクグラインダーに装着することでチップソー切断が可能になります。
しかしながら、カバーだけの重量が 780g となかなかの重さであり、最大切り込みの深さが大きくとれないというデメリットがあります。
また、対応している機種は以下の4社の特定のモデルのみです。
・ハイコーキ(旧:日立工機)…G10シリーズ(PDA-100A/PDH-100H/G14/G18DSL)
・マキタ…9533/GA403シリーズ/GA400DRF/DZ,GA402DRF/DZ
・BOSCH…GWS5/6/7/8/ 100mmグラインダシリーズ/GWS18V-Li
・リョービ…G-104P,G-105,G-110シリーズ
使い方や対応しているディスクグラインダーが限られるというデメリットが大きいので、やや使いづらいかもしれません。
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マキタのマルチツールは、ディスクの回転ではなく、先端の振幅によって切断や研磨を行う電動工具であり、本体はコンパクトで小回りが利くため、安全性も高く注目されています。
切断性能はディスクグラインダーと比べると劣りますが、42種類のさまざまな部材や多様な作業に対応した先端工具を装着することが可能です。
別売りの先端工具を取り付ければ、以下の幅広い作業にこれ1台で対応できます。
・石膏ボードの切除(角切り抜き)など切断
・Pタイルの剥離
・木材の研削
・木材の角切り抜きなど切断
・気質集成材の切断
・金属管の切断
・釘の切断
・仕上げ材の切断
・塩ビ管の切断
・カーペットの切断
・コーキング剥がし
・タイル目地の削り取り
・接着剤の削り取り など
マキタの18Vバッテリー BL1860B と充電器 DC18RC、ケースが付属したモデルもありますが、お手持ちの18Vリチウムイオンバッテリーを使い回せる本体のみのモデルもラインナップされています。
先ほどご紹介したのは、あくまで「比較的にディスクグラインダーを丸ノコ化した場合に近い便利なアイテム」でしたが、ここからはアイテムを組み合わせて完全に丸ノコ化する方法を解説していきます。
使用するアイテムは、以下の2つです。
・スライド機構があるディスクグラインダースタンド
・サンウェイ スピードコントローラー
ここからは上記2つのアイテムを使用して、ディスクグラインダーを丸ノコ化する方法を解説していきます。
SK11 ディスクグラインダースタンド 100 125mm ディスクグラインダー用
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ディスクグラインダーには丸ノコにあるベースがないため、キックバックが起こりやすいです。そのため、市販のディスクグラインダースタンドを用意します。
ディスクグラインダースタンドにはさまざまな商品がありますが、ここで紹介しているのは「スライド機構」を備えたものです。
スライド機構があることで、部材の固定もしっかりとでき、使い勝手が非常に良いため、おすすめです。
ただし市販のディスクグラインダースタンドはミニサイズのものも多いため、大きな部材を1回でカットすることができないというデメリットがあります。
サンウェイ スピードコントローラー SC-01
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続いて、ディスクグラインダーを丸ノコ化した際の危険な回転速度の違いについて、サンウェイのスピードコントローラーで細かくコントロールしていきます。
サンウェイのスピードコントローラーは、0〜100%の範囲で電動工具の回転速度を調整できるため、高速で回転するディスクグラインダーを低速で操作し、ポリッシャーのように使用することも可能です。
ディスクグラインダーを丸ノコ化するにはチップソーが必要ですが、使用するディスクグラインダーの軸経に応じて選びます。
例えば、軸経が15mmであれば、チップソーも15mmのものを選ぶ必要があります。
チップソーには耐えられる回転速度が定められており、この回転速度を超えないように先ほどご紹介したディスクグラインダースタンドとサンウェイのスピードコントローラーを使用してコントロールすれば、ディスクグラインダーを丸ノコとして利用することができます。
軽量でコンパクトなので、「ちょっと切断したい」「簡単に持ち運びたい」というニーズに応えることができ、使い勝手の良い丸ノコとして使用できます。
しかしながら、やはりディスクグラインダーにチップソーを取り付けて使用することは非常に危険です。したがって、「このような方法がある」という程度に留めておき、チップソーを使用する必要がある作業には丸ノコを使用するようにしましょう。
ディスクグラインダーを丸ノコ化するのは非常に危険です。
ディスクグラインダーは丸ノコと比べて回転数が高く、材料に対して正面から向き合う姿勢で切断作業を行うため、キックバックが発生したり、材料の上を滑ったりすると作業者や周囲の人に被害が及ぶ可能性が高くなります。したがって、これは避けるべきです。
ただし、作業環境や状況によっては、「ディスクグラインダーを丸ノコのように使えたらいいのに」という思いが生じるかもしれません。
その場合、上記でご紹介したディスクグラインダースタンドやスピードコントローラーを使用し、安全を確保するための対策を講じることが大切です。
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