2023.05.25
エンジンカッターとは?何に使うの?使い方や選び方・おすすめモデルをまとめて解説!
電源を確保しなくても、自動車やバイクのように燃料を給油することで使用することができるエンジンカッターは、コンクリートや金属を一刀両断できるハイパワーな工具です。
エンジンカッターは他の工具と比べると高い切断能力を持った工具なので、使い方は慎重に、正しく扱うことが重要になってきます。
この記事ではエンジンカッターの使い方からオススメの製品まで幅広くご紹介していきます!「エンジンカッターを購入したけど、説明書だけじゃ使い方がイマイチわからない…」という方にもわかりやすい記事になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
エンジンカッターとは、石材や鋼材、金属といった切断することがむずかしい材料の切断作業に使用される工具のことです。
エンジンカッターは、主にインフラ整備設備の施工や解体作業など高い切断能力が求められる作業に使用されていて、コンクリート製の水道管やU字溝などの切断に使用されることが多いです。大きな切断ディスクと、混合燃料を主に稼働する高出力エンジンを搭載しているので、可搬式の切断工具のなかでも最も高い切断能力を持ちます。
モデルによっては、ガソリンとエンジンオイルを混ぜた混合ガソリンを使用するものの他に、ガソリンとエンジンオイルを別々に注いで使用するモデルもあります。電源を確保しなくても燃料を注げば使用できるので、利便性が高く屋外作業を中心に広く使用されています。
水で冷却しながら切断する湿式切断にも対応しているので、ディスクの長寿命化や環境に配慮した作業ができます。
エンジンカッターをはじめ、手で持って作業する工具は「振動工具」に分類されます。チェーンソーは除きますが、振動工具を使用するときには特別な資格は不要ですが、「振動工具取扱作業者安全衛生教育」を受講する必要があります。
なぜエンジンカッターを使うのに安全衛生教育を受講する必要があるのかというと、健康被害や労働災害につながる恐れがあるからです。特に長時間、機械の振動を受けることでレイノー病や末梢神経の異常など、体に影響を及ぼしてしまい、手が硬直して開かなくなる恐れがあります。
建設業界では年間130人程度の振動病が認定されており、時間が経ってから後遺症に苦しむ方が多いので、危険予知のためにも必ず受講しましょう。衛生安全教育の講習内容は、18歳以上であれば誰でも受講することができます。
カリキュラムの内容と受講時間は以下の通りです。
振動工具に関する知識 | 1時間 |
振動障害及びその予防に関する知識 | 2時間30分 |
関連法令など | 30分 |
演習 | 30分 |
安全衛生講習は講習会に参加することの他に、通信講座でも受講することができます。
講習会では1日がかりの講習になりますが、通信講座では4時間半程度で済むので、忙しくて休めない方や、会場が遠方にあって受講しにくい方は通信講座も検討してみましょう。
キックバック現象とは、使用中に突然刃が作業者のほうに跳ね返る現象のことです。キックバックは、ブレードがキックバックゾーンに挟まったときに発生します。
キックバックゾーンとは、ガイドバー先端の上1/4部分のことで、この部分に木材など材料が接触することで発生します。またガイドバー先端から木材などに切り込んでいく使い方や、ガイドバーの上側にある背で切断する使い方をしたとき、木材などがガイドバーに挟まれたときにもキックバックが起こります。
危険では無いことが多いですが、キックバックの力が強いとケガをしたり、最悪は死亡事故に繫がるおそれがあります。高性能なモデルほど高い排気量や駆動力を持つので、効率的な作業ができる一方でキックバックのリスクが高くなります。
エンジンカッターのキックバックを防ぐためには、日常的にしっかりとメンテナンスや点検を行うことが重要です。日常的な使い方にも注意を払い、キックバックゾーンで切断しないようにしましょう。
エンジンカッターは切断作業を行うための工具なので、用途としては切断砥石を装着したディスクグラインダーと同じ作業をすることができます。
しかしディスクグラインダーはエンジンカッターと比べて刃が小さく、原動力がモーターなので、エンジンカッターのように大きなパワーを発揮することができません。
エンジンカッターは、エンジンを搭載していることによって高い切断能力を持っていて、カバーハンドル搭載による安全構造、電源不要、湿式切断対応など屋外での作業に適しているという違いがあります。
ディスクグラインダに関係する記事はこちら↓
「グラインダーとサンダーの違いは?種類や工具の選び方まで徹底解説」
「サンダーとは?使い方のコツと選び方のポイント・人気メーカーまで詳しく解説」
エンジンカッターは説明書だけの情報では、イマイチ使い方がよくわからないということがあります。
ここからは使用上の注意を踏まえながら、エンジンカッターの使い方について解説していきます。
実際にエンジンカッターで切断作業を行う前に、まずはダイヤモンドホイールや切断砥石を使えるように準備する必要があります。
ダイヤモンドホイールなどを取り付けるために、それぞれの部品を本体に付いている矢印と、ダイヤモンドホイールなどに付いている矢印の位置を組み合わせながら取り付けます。このときに矢印の位置が合っていないと、刃が損傷してケガの原因になるので注意が必要です。
ベルトカバーにある穴の中に星形のレンチの柄を差し込んで、軸をしっかりと固定しましょう。締付ボルトを締め付けるときは、締付用にボックスレンチを使用します。締付ボルトの部分を左に回して、締付ボルトやアウターフランジを外していき、ダイヤモンドホイールなどをはめこんだら、締付ボルトを右に回してしっかりと締め付けます。
ちゃんと作業できる状態になったかどうか、エンジンカッターを試運転させて確認します。
エンジンカッターのスイッチを入れて、本体のセイフティレバーを抑えたままスロットルを引いてロックボタンを押しましょう。このときスロットルは静かに離します。
試運転で問題なければ、いよいよエンジンカッターで切断作業を行います。
スターティングバルブを押して、スタータハンドルに力を入れてはじき出したら、爆発音がするまで繰り返していきます。爆発音が鳴ったら、スイッチを運転する方向に倒して、スターティングバルブを抑えてスタータハンドルを数回はじいて始動させます。
エンジンカッターが始動したら、スロットルを引いて戻すという動作を何度も繰り返して暖機運転させます。低速ギアから高速ギアにスムーズに回転するこができれば、暖機運転が完了した合図です。
切断作業をするときは、両手でしっかりとエンジンカッターのハンドルを握って、対象物に向かってエンジンカッターを真っ直ぐ持ち、機器側面に体を移動させます。このときにエンジンカッターの真後ろに立ってしまうと、キックバックが起きたときに非常に危険なので、立ち位置に注意しながら作業を行いましょう。
実際に刃の取り付けから始動までを解説していただいている動画がございましたので気になる方はご参照下さい。
さまざまなメーカーからエンジンカッターが販売されているので、「どれを選んだらいいかわからない!」という方が多いのではないでしょうか。
ここからは、エンジンカッターの選び方として3つのポイントをご紹介いたします。
エンジンカッターのディスク経で最も使われているのが、305mm対応品ですが、それよりも大きな355mmに対応したエンジンカッターもあります。
305mmのディスクで最大切断深度は100mm、355mmディスクで125mmまで切断することができるので、用途に応じて対応しているディスク経を確認しながらエンジンカッターを選びましょう。
例えば、U字溝などの切断であれば305mm品で対応できますが、太経パイプなどの切断作業の場合では355mmが必要になります。
出力(排気量)は各社ほとんど差がありませんが、燃料はモデルによって異なります。エンジンカッターで使用する燃料は、「混合燃料」と「ガソリン」の2種類に分けることができます。
まず、混合燃料は2ストロークエンジンのエンジンカッターで必要になる燃料で、ガソリン対オイルが25:1〜50:1になるように作る必要があります。比率さえ守れば簡単に作ることができますが、長期間保管すると揮発性の高いガソリンが抜けていき燃えにくくなってしまいます。目安として、混ぜた混合燃料は夏場で1か月まで。冬場で2か月までに使い切るようにしましょう。
次に4ストロークエンジンに使用するガソリンは、自動車用ガソリンのことです。混合燃料のように燃料を混ぜて作る手間がかからないので、手軽にエンジンカッターを使うことができます。
自動車用のガソリンは純度が高いので、混合燃料と比べるとキャブレーターのつまりが起こりにくいというメリットがある他に、長期的な使用コストを安くできるというメリットもあります。
エンジンカッターの付加機能は、メーカーやモデルごとに異なるので付加機能を比較して選ぶこともできます。エンジンカッターの付加機能としてあげられるのが、「集塵機能・給水機能」「デコンプ機能」「排ガス抑制」の3つです。
まず集塵・吸水機能は、切断作業中の銅やコンクリートなどの粉塵を集塵してくれる機能のことで、集塵機構や集塵袋付きの他に、集塵機と接続できるモデルなどさまざまです。
吸水機能付きのモデルでは、切断作業時に水を散布することができるので、切断面の加熱や火花を軽減することができます。
デコンプ機能は、エンジンを始動させるときにスターターハンドルが重くて引けない方におすすめの機能で、エンジン内の圧力を特殊な機構で外に逃がすことでスタータハンドルを引きやすくしてくれる機能のことです。
最後の排ガス抑制は、自動車やバイクの排ガス抑制と同じ機能のことで、使用者の健康を守るためにメーカーが自主的に取り組んでいます。
エンジンカッターを快適に使うためにも、ディスク経や必要な燃料の種類の他に、付属機能もよくチェックしてみましょう。
エンジンカッターの性能はディスクが決め手になります。エンジンカッターの刃は「ダイヤモンドカッター」と「切断砥石」の2種類があり、用途に応じて使い分ける必要があります。
まずダイヤモンドカッターは、刃のところに工業用ダイヤモンドをちりばめたディスクになっていて、高い切断と切削能力、そして高い耐久性を持ち合わせています。
ほとんどのエンジンカッターではダイヤモンドブレード専用機となりますが、なかには大型の切断砥石を取り付けることができるモデルもあります。
切断砥石は、ダイヤモンドブレードと比べると切断面の仕上がりが劣るものの、バリが出ても構わない素材の切断に便利です。1枚あたりのコストが安く、さびる心配がないというメリットがあります。
一方で砥石の最高回転数がエンジンカッターの回転数よりも少ないと、砥石が破損する可能性があるので、選ぶ時はエンジンカッター本体の回転数も把握しておくようにしましょう。
エンジンカッターは、園芸機器メーカーや電動工具メーカーなどから販売されていますが、大手工具メーカーのマキタは2022年3月に、ハイコーキ(日立工機)は2019年6月に製造を終了しています。
そのためこれから新しくエンジンカッターを購入する方は、アフターサービスのことを考えると現在も製造・販売を続けるメーカーでエンジンカッターを購入したほうがいいでしょう。
ここからは、エンジンカッターのおすすめメーカーとモデルを3つご紹介いたします。
参照:
スチールは1926年にドイツで設立されたチェーンソーメーカーで、日本国内では栃木県に株式会社スチールとして本社が置かれています。
スチールのエンジンカッターTS 480iは、2ストローク式の「インジェクションエンジン」が搭載されている3.9kWのエンジンカッターで、暖機運転なしでスタート直後から作業することができます。
サイクロンエア制御のロングライフエアフィルターシステム搭載で、吸入した空気は回転されてダストなどの浮遊物の80%を遠心力を利用して外に排出されます。そのため日々のフィルター掃除が不要になった他に、電子給水コントロールシステムも搭載しているので、簡単なボタン操作で電子制御の水量調節を行うことができます。
また、防振システムやエンジン始動時のエンジン圧縮による衝撃をやわらげるエラストスタート、簡単にエンジンカッターを始動できるデコンプバルプを搭載しており、スチールのエンジンカッターは、使用者に寄り添ったモデルになっているのが特徴です。
参照:
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農業や林業の他に、建設業の機械を手がける新ダイワ工業(現:株式会社やまびこ)は、戦後の復興期から21世紀の現在まで日本の作業を支えているメーカーです。
新ダイワの2ストローク式エンジンカッターEC90は、軽量モデルで本体重量が7.5kgと軽いので扱いやすいのが特徴です。
4ステージエアクリーナシステムを採用しているので、キャブレターに流入する粉塵を4つのステージで分離潤滑することが可能です。エンジントラブルの原因になる粉塵の混入を大幅に抑えることができる他に、高耐久の防塵リコイルで粉塵によるトラブルを予防して、エンジンカッターそのものの耐久性を向上しています。
ガソリンに自動で2サイクルオイルを混合できる「分離潤滑装置」を搭載したモデルは、ガソリンとオイルを確実に補給することで、機械内部で自動的に適正な混合比で燃料を混合できるようになっているのが特徴です。
ガソリンとオイルを人の手で正確な比率で混合する必要がなく、燃料の管理も不要になっています。
参照:
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ハスクバーナ・ゼノア株式会社は、2007年に設立された芝刈り機やチェーンソーなどの農林業機器を取り扱うメーカーです。
ハスクバーナのK770は、現在市販されているエンジンカッターのなかでもトップクラスのモデルと言われていて、遠心分離型エアークリーニングシステムを搭載しているのでメンテナンスが非常に楽です。
高効率で高出力なエンジンは、安定した切れ味なので効率的に作業を進めることができます。
エンジンカッターは、インフラ関連設備の施工や解体作業などで使用される工具のことで、同じ切断を行うディスクグラインダーよりも高い切断能力を持っています。
ハイパワーな工具なので、使用する際は正しい使い方でキックバック現象に気をつけながら扱う必要があります。そのためエンジンカッターの使用者は安全衛生講習を受講する必要があるので、使用前に必ず受講しておくようにしましょう。
エンジンカッターを販売するメーカーは、「スチール」「新ダイワ」「ハスクバーナ」の3社が人気で、高い性能を持ったエンジンカッターを販売しています。
エンジンカッターを選ぶ際は、ディスク経や燃料の他に、付属機能にも注目して選ぶと、より快適に使用できるものを見つけることができます。じっくりと時間をかけてさまざまなモデルを比較してみましょう。
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